厚生労働省は10月を「年次有給休暇取得促進月間」に定めて、事業所や労働者に対して広報啓発活動を推進しています。
本来なら、わざわざこうした活動をしなくても年休取得100パーセントとなるのが理想的なのですが、働き好きの人が多い日本では欧米と比べるとまだまだ低い取得率にとどまっています。
「令和5年就労条件総合調査の概況」によると、2022年は62.1パーセントになっています。
何とか取得率を上げようと厚労省は懸命に旗振りをしているのですが、この10月が本当にふさわしい時期なのか、その理由は明らかではありません。
このコラムでは、どうしてこの月に「月間」が設定されたのかについて、少し考えてみたいと思います。
年休取得の管理を容易にする方法として、「基準日」を統一する方法があります。本来なら個人の年休取得の権利が発生した時点が基準日となるのですが、就業規則に定めることにより、それぞれの基準日を統一することができることになっています。
いつにするかは特に決まっていないのですが、新年度が始まる4月1日や、新年が始まる1月1日にしている事業所が多いようです。
そうした事業所では、従業員が1年のうちに労基法で義務付けられた5日以上年休取得しているかどうかについても管理しやすくなるのですが、10月は、4月を基準日とする事業所ではちょうど「半年」になり、また1月を基準日とする事業所では取得年度が残すところあと「3か月」になるという、いろいろな意味で「節目」に当たります。
こうしたことが10月が「月間」に定められた理由のように思われますが、もう一つは、夏休みの間、残念ながら年休が取れなかった人に、この「月間」のうちに年休を取ってもらおうという、「親切心」があるようにも思われます。
いずれにしても、年5日以上年休取得させなかった場合には、罰金(30万円以下)が科せられることになっています。
この「月間」は、そのことに警鐘を促す意味もあると感じています。
関心のある方は、次の厚労省のホームページをご覧ください。
▸厚労省ホームページ
Comments