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正社員との基本給格差に関して最高裁が初めての判断をしました

有期労働契約で働く社員と正社員との給与格差については、各種手当や退職金をめぐる最高裁判決が出されてきましたが、7月20日、今度は「基本給」と「賞与」に関する初めての最高裁判決が出されました。


【事案】

この事件は、自動車教習所に正社員として勤務していた二人が、定年後嘱託職員として再雇用され有期労働契約に基づいて勤務していましたが、基本給や賞与が正社員の時と比べると半額程度にまで減額されたことから、その相違が当時の労働契約法(労契法)20条に違反するとして損害賠償を求めていたものです。


一審、二審は、基本給等の6割を下回る分については、労契法20条にいう不合理であるという判断をしていました。


【判決概要】

・労契法20条の不合理と認められるかの判断に当たっては、当該使用者における基本給

及び賞与の性質や支給の目的を踏まえ諸事情を考慮することにより、不合理と認められるか否かを検討すべきものである。(「メトロコマース事件」(最3小判令和2年10月13日)を引用)


・正職員の基本給は、勤続年数に応じて決められる勤続給だけでなく、職務内容に応じて決められる職能給など、様々な性質を有する一方、嘱託職員の基本給は正職員のそれとは異なる性質や支給の目的を有する。


今回の基本給等の相違について、その性質や支給の目的を十分踏まえることなく、また、労使交渉に関する事情も適切に考慮しないまま行った原審の判断には、同条の適用を誤った違法があり、原審に差し戻す。


定年後の賃金引下げについては、「長澤運輸事件」や「ハマキョウレックス事件」において、最高裁判決が積み重ねられており、「基本給」に関する最高裁の判断が注目されていましたが、今回は判断に当たっての大きな考え方を示すのみで、個別の判断は改めて示されることになりました。


今後の動向にも注目したいところです。


▸「名古屋自動車教習所事件」(最1小判令和5年7月20日)


それではまた!


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