3月に入り年度末が近づいてきましたが、今年も4月から適用される重要な労働社会保険関係の法改正がいくつかあります。
すでにいろいろなところで周知が図られていますが、準備が整っているかどうか、今一度確認しておくことが必要です。
特に関わりが深そうな項目について改めて紹介しておきます。
〇労働条件通知書による明示事項の追加
・4月1日から、労働者に対する明示事項が次のとおり追加されます。
【追加明示事項】
就業場所と業務の変更範囲
更新回数上限の有無と内容
無期転換の申し込みができること(有期契約が5年を超える場合)
無期転換後の労働条件(有期契約が5年を超える場合)
・これに伴い、4月1日以降に労働者を雇い入れる場合又は更新する場合には、「労働条件通知書」に上記の事項を記載し、明示することが義務付けられます。
▸厚労省ホームページ
〇裁量労働制に係る対象業務の拡大等
・裁量労働制のうち「専門業務型裁量労働制」については、4月1日から次のとおり対象業務が追加されます。
【追加対象業務】
・銀行又は証券会社における顧客の合併及び買収に関する調査又は分析及びこれに基づく合併及び買収に関する考案及び助言の業務(いわゆるM&Aアドバイザーの業務)
・また、「専門業務型裁量労働制」を導入する場合には、4月1日以降、新たに労働者の同意を得ることが必要となります。
さらに、次の事項について労使協定に定める必要があり、継続して導入する場合には、3月中に協定を締結して労基署に届け出る必要があります。
【労使協定に追加する事項】
労働者本人の同意を得なければならないこと
同意をしなかった場合に不利益な取り扱いをしてはならないこと
同意の撤回に関する手続、同意と撤回の記録の保存
・「企画業務型裁量労働制」についても、労使委員会の運営規程に記載する事項が追加されます。
▸厚労省ホームページ
〇障がい者雇用に係る法定雇用率の引上げ
・障害者雇用促進法に基づく法定雇用率が4月1日に引き上げられます。
【民間企業の法定雇用率の引上げ】
2.3%から「2.5%」に引上げ
・なおこの率は、さらに2年後の令和8(2026)年7月には「2.7%」まで引き上げられることとされています。
・また、上記法定雇用率が対象となる事業主の規模は現行「43.5人以上」ですが、4月からは「40人以上」となり、対象となる範囲が拡大されます。
〇障がい者への合理的配慮の義務化
・4月から改正障害者差別解消法が施行され、事業者における障がいのある人への「合理的配慮」の提供が義務化されます。
・これまでは「努力義務」とされていましたが、「義務化」とされる点に注意が必要です。
どのような場合にどの範囲の「合理的配慮」が必要かは判断に悩むところがあると思われますので、内閣府が発行するパンフレットなどで確認する必要があります。
▸内閣府ホームページ
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