いよいよ11月1日から「フリーランス・事業者間取引適正化法」が施行されます。法律が成立したのが1年半前のことでしたので、本当に「いよいよ」というのが実感です。
厚労省では各地で説明会を開催し、周知に努めているようですが、認知度が高まっているとは言えません。それはこの法律がフリーランスで働く人たちを対象としたものという印象が強すぎて、その取引先になる事業者にとっては「関係のない話」のように理解されているからではないかと思っています。
もちろん、これまで取引面で不利な条件を強いられることがあったフリーランスを保護するのがこの法律の主たる目的なのですが、それは事業者があってのことで、法律で規定されているのも、フリーランスに仕事を発注する事業者が果たすべき責務なのです。
見逃せないのは、違反した事業者に対しては、公正取引委員会が是正命令を出し、それに従わない場合には罰金(50万以下)に科されることがあるということです。
事業者にとっては、そうしたことにならないよう、今回の法律の趣旨を理解するとともに、具体的に何をすべきで何をしたらだめなのかを知っておく必要があります。
発注事業者の義務とされている項目としては、
・書面による取引条件の明示
・報酬支払期日の設定・期日内の支払い
(60日以内の支払い)
・受領拒否、報酬減額等の行為の禁止
・的確な募集情報の表示
・育児介護等両立支援への配慮
・ハラスメント防止対策の整備
・中途解約等の事前予告・理由開示
(原則30日前までの予告)
法律施行に合わせて制度化されるのがフリーランスの労災保険の特別加入ですが、保険料を支払うのは、フリーランス自身でしかも強制でなく任意とされていますので、どこまで実効性があるか疑問です。
いずれにしても、これから増加していくことが予想されるフリーランスという形での働き方に対して、ようやく法制度の整備が少し追い付いてきた感じがしています。
発注する事業者も、受注するフリーランスも、安心して業務の遂行に当たることができる環境を整えてほしいと願うばかりです。
(了)
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